amachin2005-07-27


14:50。
この時点で、新譜を出したばかりのみんな大好きNICE VIEW、この日の目玉MOGA the \5 from 大阪、同じくツアーバンドのKatie katty from 神戸が残っていた。地元の限界常連の地元バンドだけならまだしも、これらのバンドを残して即刻中止はあり得なかった。何としても食い下がらなければならない。

NICE VIEWは、新譜「Thirteen views with NICE VIEW」のScene #1〜3のような緊張感漲る即興演奏をして再開を煽る。広場のはずれで話し合う僕らにも、お客さんの高まる期待とじれったさが伝わってくる。


しかし、市の職員や警察の人には逆効果だった。
「ほら、こんな大きな音出して!すぐやめてもらわないと困るよ!!」
「市の人だって責任問題に発展して訴えられたらどうするの?」
「いくら長く続いてきたイベントでも周りに住んでいる人に迷惑かけてやるのは筋違いだよ。なんで近くにあるホールとかでやらないんだ?」
と畳み掛けてきた。とりあえずこの場が収まるまで音を下げるように伝言をお願いして、僕らは食い下がった。


まず、14年前に市に許可申請をしに行った時に、「市の土地ではない」と散々たらい回しにして責任回避していたのに、今さら責任云々を持ち出してくる不誠実さを訴え、今やすっかり活気を失ってしまったかつての繁華街・康生にかつての姿を取り戻すという僕らなりと大義を説いた。事実、数百人の動員を誇る限界破滅GIG以上に人を集めるイベントは他にない。誰でもアクセス可能な公共空間で行うフリーライブと、お金と関心で来る人を予め選別してしまうホールやライブハウスの有料ライブとは全く意味が違うし、近くのホールでやったらみんな車で来て駐車場に車停めて帰るだけで、康生に賑わいをもたらすことはできない。


そんなこんなで押し問答していたら、15時を過ぎた。都合30分以上中断していた。「もうやっちゃおうぜ」と不穏な空気を影のまとめ役・沢田くんがなだめすかしてくれていた。しかし僕らもさすがに痺れを切らして、「この行為は具体的にどの法律に抵触するんですか?」「全ての責任は僕ら負います。問題があるなら逮捕してもらって構いません。」と強気に出た。腹は決まっていた。背に腹は変えられない。やるしかなかった。
気圧されたのか警察の人が「じゃ、16時までってことでどうかね?」と折衷案を出してくれた。16時までならなんとか上記3バンドだけでもやりきることができる。完全勝利とはいかないまでも中止よりずっとマシだったので、渡りに船と飛びついて、渋る市の職員を一気に押し切った。


しかし既に15:10になっていた。


(もう少しつづく)